日記掲載ネタ〜槍弓編〜 1


1 (椎名)

「だぁぁぁ暑いーー!!日本の夏ってのはこんなに暑いのかー!?」
「たわけ。31度ぐらいでバテていては真夏の日本は乗りきれんぞ?」
「んなこといったってよー、北国育ちの俺にはかなりきついのよー?この殺人的な暑さわー…
ていうかさっきから何やってんだ?」
「これか?かき氷というやつだが…食うか?」
「食う食うー♪」

 数分後

「くあーーー!!頭いてーー!」
「そんなに急いでかきこむからだろうが…」
「だぁって急いで食べないと溶けるっていったぢゃんかー!だーしかも身体冷えたーー!」
「よかったじゃないか。暑かったのだろう?」
「むしろ寒いーだから暖めてーv」
「だー!抱きつくな!暑苦しい!!」





2 (椎名)

「はー…もう九月かー…」
「なんだ、ため息などついて」
「んー、夏ももう終わりだなーって思ったら…ちょとな。」

海に行ったり祭りにいったり…いろいろと楽しかったから余計に切なく感じるのだろうか。

「そうか…もうすぐ秋なのだな。」
「?」
「秋はいいぞ。上手い食材がたくさん増えるいい季節だ。」
「…」
「だからな…夏の終わりではなく、秋の始まりだと思えばいい。」

その方が、たぶん
また来年の夏を楽しみにできるから。

「そうだな。そしたらまたアーチャーの上手い飯たくさん食える!」
「…ゲンキンな奴だな…」
言ったアーチャーの口元は優しく笑っていた。





3 (ペキ)

何となくぶらっと散歩に出てみたけど。
蒸し暑さと日差しの強さにやられて早々に退散することになった。
早くクーラーというこの時代の利器にあやかりたいと半ば小走りで家にたどり着くと。
玄関先で、アーチャーがなにやら水をまいていた。

「ただいまーって、何やってんだ? そんな何もない所で水なんかまいて」
「ああ、帰ったかランサー。 
 これか? "打ち水"というものだ。
 この国古来の習慣でな。 水をまくことにより生じる気化熱という現象を利用して……まあ簡単に言えばこうすると涼しくなる」
 
 そういって、又手でバケツから水を撒きはじめる。

「ふーん……そんなことで、ホントに涼しくなんかなるのか?」
「ああ、特にこれからしばらくは打ち水週間というものが始まっている。
 何万という集団でやれば、気温そのものを2.3度下げることも可能だぞ」

 なるほど、そういえば道があちこち塗れていたが、もしかしたらそのせいかもしれない。
 だけど、何万ってヤツが水まいても、たった2.3度じゃ割りにあわねえような気がする。
 せっかくこの国はこんなに豊富に水があるんだから、もっと簡単な方法があるだろうに。
 ……よし、面白そうだしやってみようかね。

「なあ、アーチャー」
「何だ?」
「オレさ、もっと簡単に涼しくなる方法知ってるぜ?」
「ほう?」

 聞き返しながらも、アイツはこちらを向いていない。
 コレは絶好のチャンス。
 極めて慎重に、アーチャーの背後にいくつか置いてあった、おそらくこれから撒くつもりだったんだろう水入りバケツを一つ手にとって。
 

ばしゃんっ


「ほら、こうすれば簡単だろ?」

やっぱり、そんなまだるっこしいことよりも、直接水をかぶった方が早いってモンだ。

「な、涼しくなったろ?」
「……ランサー、お前というヤツは……!」

オヤ、どうやらお気に召さなかったらしいな。
まあ、頭からいきなり水をぶっ掛けられて、喜ぶようなヤツはいないか。

「だって、水もったいないじゃん? 撒くくらいなら、直接ひっかぶっちまった方が涼しいし合理的だろー?」
「……コレは昨晩の風呂の残り湯だ!」

あ、そうだったのか。
まあ、よくよく考えたら水の無駄遣いなんか完璧主夫のコイツがするわけなかったか。

ってーことは、オレは汚れた水かけちゃったわけで。
もしかしなくても、予想以上に怒ってるか?

「えーと……わりぃ」

とりあえず素直に謝っとく。

……う、アーチャーのヤツ、なんかすっごいいい笑顔浮かべてるんですけど。

「……なるほど、なら私もお前にお返しをしなくてな」

 ばしゃっ!

避ける暇なんかなく、俺にもバケツの中の水がプレゼントされた。

「どうだ? 涼しくなっただろう?」

そういって、アーチャーがにやりと笑う。

「……いいや、まだ、足ンねえ……なっ!」

ばしゃーん!

まだいくつか残っている水入りバケツを手に取り、もう一回アイツにお見舞いしてやる。
もう、この際汚れた水だとかは無視。

「……ほう、この弓兵に投擲勝負で挑んだこと、後悔するなよ、ランサー!」

なんだかあいつもノってきたらしい。
いつの間にか、手には水入りバケツ。
なら、当然受けてたたないとな。

「悪いな、槍兵は、投擲も得意なんだよ……!」

俺も、エモノ(バケツ)を構えた。


結局、馬鹿みたいに玄関先で水を掛け合って、坊主と嬢ちゃんたちが帰ってくるまで炎天下中ひと運動してしまったわけだが。
水をひっかぶったアイツの姿とか、その後のシャワーとかで、結構納涼できたンで、良しとしよう。





4 (ペキ)

外は雨。
やまない雨。
曇天から、滾々とふり続ける。

「……ちっ」
知らず、舌打ちが漏れた。

卓越したルーン魔術の使い手たる彼でも、流石に天候そのものに影響を及ぼすほどの大きな魔術は一朝一夕には使用できない。
できることといえば、暗雲立ち込める天を睨むことぐらいか。

「……ランサー、そうやって空を眺めていても天候はそう変わらんぞ」

あきれたように声をかけてくる、弓兵。

「……わあってるよ」

そう答えながらも、ランサーは空をぼうと見やったままだ。

ランサーは、別に雨は嫌いではない。
雨は恵みをもたらしてくれるし、何より汚いものも弱いものも全て平等に包んで洗い流してくれる。
そういった意味ではむしろ好きなほうだ。

けれど、今日ばかりは。
キレイなものも嬉しいことも包み込んで流してしまう雨には、降って欲しくはなかった。

「……この調子だとやみそうにもねえなぁ」

せめて、夜だけでもやんではくれないかと期待してはいたのだが、どうやらそんな彼の思いも天には届かなかったようだ。

「仕方がなかろう? 台風が来ているのだから。今回は、祭は諦めることだな」

祭がある事をランサーが聞いたのは、つい先日。
ワリと大規模であるらしいそれの思い出を楽しそうに語る士郎や凛たちを見て、もとより騒がしいことが好きなランサーはことのほか楽しみにしていたのだが。
昨日今日と、あいにくのこの天気であった。

「んー、しょうがないのは分かってるけどよ……」

そう、こういうものは運だ。
今回は縁がなかったと思って諦めるしかない。

だけれども。

「見たかったんだよなー。ここの祭」

アーチャーの、故郷の祭を、さ。


そう、呟く彼にアーチャーはわずかにたじろいだが。
すぐに深々と嘆息をした。


「……ここの祭なら、毎年行われている。別に今年だけというわけではない。又来年、見ればいいだけだろう?」


又、来年。


「……ん、そっか。そうだよなー」

とたん、伸びをし、すっくと立ち上がるランサー

「しょうがねぇから、来年にすっかー! そんときは案内頼むぜ? アーチャー」
「……まあ、案内くらいなら、な」

ランサーはその答えに満足気に笑うと、最後に一度だけ暗い空を振り仰ぎ、赤い背中を追って部屋へと入っていった。



『又、来年。』


ソレは今では無くなってしまったけれど、必ず来る未来への希望の言葉。
そして、又来年も共にいるという、ささやかな約束。




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