web拍手ネタ〜弓士編〜 1


1 (椎名)

「まったく…火傷を負うなどお前らしくないな衛宮士郎、気がゆるんでいるのではないか?」
「ちがっ!誰かがご丁寧にエプロン完備で手伝うとか言い出すからだろうがっ!」
「いいから早く冷やして…ふむ…この程度なら…」
「うわ!ちょっ!何すんだおま!」
「舐めとけばなおる。」





2 (椎名)

「「あーもう火傷してるじゃないかアーチャー!」
「む…すまない…」
「まったく…戦闘中じゃないからって気がゆるんでるのか?」


「…いいだろう…お前の前ぐらい…」






3 (ペキ)

台所に立つ広い背中が、手馴れた手つきで陶磁の器に紅茶を注ぐ。
常ならそこに立っていた世帯主は、居間でその背中を不満げに眺めていた。

「・・・ふむ、コレで、よしと」
「・・・・・・お前さ、いっつも思ってたんだけど、仮にも英霊がエプロンつけるのってどうかと思うぞ?」

満足げにうなずくその背中が何となく恨めしくて、皮肉を吐く。

「私とて、好きでつけているわけではないがな。
 しかし、服が汚れるのだ、仕方ないだろう?
 あいにく、マスターが未熟なせいで、霊体化できないのだから。」
「……っ! 俺だって、お前みたいな使い魔なんざいらない!」

自らよりも明らかに皮肉のバリエーションが経験豊富な使い魔にあっさりと返り討ちにあった主は、
いらつきながらも彼が運んできた紅茶を一口含む。
口から広がる、芳醇なセイロンの香りと程よい甘味。

「……ってまたこれもむかつく……。」
「ふむ? ふむふむ。」
そんな主の様子を見ていた使い魔は、1人納得したようにうなずいた。

「っ! あーそこ! さも『ふ、勝ったな』みたいな顔すんなよ!? 
 今に見てろ!? すぐに追いつくからな!?」
「ほう、あと何年かかるかは知らんが、その時まで楽しみに待たせてもらうとしようか。」
「……って、お前、何年もいる気かよ…。」

赤い男のセリフに、ふと観点の違った疑問を抱いてしまった少年は、ぽつりと呟く。
その言葉を耳ざとく聞きつけた男は、先ほどの二割り増しの微笑いを浮かべ、

「何を言う、衛宮士郎。 
 お前が私に追いつくまで、待ってやろうといっただけだ。」

そっと、顔を主の耳元に寄せ、低く囁く。

「……それとも、私に長くここにいて欲しいのかね?」
「……! さっさとお前なんか還っちまえ! 不良サーヴァント!」

傍目から見ても瞭然なほど顔を高潮させた少年を、くつくつと笑う男。

「残念だな。私を追い返したいなら、やはりお前が俺に追いつく必要がある。
 悔しかったら、さっさと付いて来れるようになることだ」

いつもどおりの使い魔のセリフに、彼の主もいつもどおりの言葉を叫んだ。

「……てめえの方こそ、ついてきやがれー!」

そんななんでもない、いつもの昼下がり。





4(椎名)

「そういえば、今度のお題の話は聞いているか衛宮士郎?」
「あぁ、俺とアーチャーで『web拍手』らしいぞ?」
「…なに故に…」
「前回あんたとランサーで書いたら以外と楽だったから味を占めたらしいな。」
「シリーズ化するつもりか…」
「いや、そこまでネタが出せる訳でもないらしいから、それはないだろうけど。」
「それはともかく…どうしろと?」
「じゃあ普通のお便りコーナーでも。」
「ラジオじゃないだろう!」
「えーっと、東京都某所にお住まいのY・Sさんからのお便りー。」
「待て。」
「『どうしてお2人はそんなに仲が悪いんですか?』だってさ。」

「ふむ…あれはまぁ…役柄上の話なんだがな…」
「おい。」
「本当は演技など苦手なんだが…特にあのアインツベルンの城で戦う所など苦労したものだ。
何度も監督から憎み合ってる感じがしないとカットになったし…」
「ちょっとアーチャーさん。」
「だいたい何故私達が殺し合いなどしなければならん。演技とは言え気分悪かったな。」
「だから。」
「そういう訳だ。だから別に我々は仲が悪くなど…」


自 主 規 制


「まぁイメージが大事ってことで。とりあえずY・Sさん、妄想を抱いて溺死しといて下さい。(にっこり)」





5(ペキ)

待つ事は、嫌いではない。
待たなくて良い、と言われた方が、悲しいから。


珍しいものを見た。
下校時、寄ろうとしていた商店街へ続く道で。
アイツが、ご年配の男性と話している。
話している内容などわからないが、アーチャーも相手も、なにやら真剣な顔をしている。
まあ、アイツはめったな事では笑わないから、たとえ世間話をしていたとしても真剣な表情に見えるかもしれないが。
それでも、あそこまで硬い表情なのは最近では中々見ない。
一体、何を話しているんだろう。
気になりはしたが、こちらから声をかけていいような気配ではない。
しかし、帰るためには彼らの脇を通らねばならない。
このままここで棒立ちしていてもしょうがない、と腹をくくって二人に近づく。

――と。
何メートルも歩かないうちに、すぐにアーチャーがこちらに気付いた。
声をかけるのがまだためらわれたので、目で合図をしながら、そちらに行歩く。
アーチャーの傍らまで行くと、話していた老紳士は初めてこちらに気付き、微笑んだ。

「ああ、エミヤさんのご家族の方ですか?」
「ええ。そうです」

アイツはそう完結に答えただけで、俺との続き柄については言わなかった。
特に必要性も感じなかったので、俺も何も言わずに、老紳士に軽く頭を下げるだけにする。
必要なら、アーチャーが何か言うだろう。
老紳士も何か思うところがあったのか、それについて聞いてくるような事はしなかった。

アーチャーが、こちらに顔を向ける。
「私は彼と少し話があるから、商店街で待っていてくれ」
「ああ、わかった」

それで充分。
アイツは再び老紳士と何事か話し出し、俺は商店街に脚を運ぶ。
商店街といっても広いが、どうせ、アイツと俺の行く場所は決まっているのだから。


十数分後、商店街の肉屋の前で、俺達はおち会った。

「あの人、誰だったんだ?」
「私の副業の得意先だ」

アーチャーは、副業でアンティークなインテリアや工芸品の補修を請け負っているらしい。らしい、と言うのは、実際に行っているところを見た事はないから。
大方、投影の延長線上みたいな魔術でどうにかしているのだろう。
なるほど、さっきの人物はいかにもアンティークな家具を持っていそうだ。

「いいのか? もっと話をしていなくて」
「いや。会ったこと自体偶然だったし、それほど重要な用件があったわけではないからな」

偶然に会った? では、他に用でもあったんだろうか?

「じゃあ、アーチャーはあんな所で何してたんだ?」
「お前を待っていた」
「……え?」
「今日の帰りに買い物によるといっていただろう?
 他用が早く終わったので、そこで待っていた」

確かに、学園から商店街への道は、意図して遠回りしない限りあの道だけだ。
だけれど。

「わざわざ、待ってたのか?」
「ああ、今日のはかさばるものが多いだろう?」
「……ん、そうだな」

確かに、荷物持ちの人手が多くなるのはありがたい。
正直、待っていてくれるなんて思わなかったけど。

と。
ふと、先ほどの、別れ際のアーチャーの言葉が気になった。

「そういえば、アーチャー。 
 なんでさっき商店街に『先に行け』じゃなくて、『待ってろ』なんていったんだ?」

ホントに、何の気なしの疑問。

「……別に、深く考えて言ったわけではない」
「あー、まあそうだろうな」

でも、深く考えてなかったら、『先に行け』って表現のほうが出てきそうな気がしたんだけど。

「……強いて言うなら、先に行けといった場合、お前がさっさと買い物を終えて帰ってしまう可能性もあるだろうから、か?」

自分の事なのに、他人事の様に言うアーチャー。

「……へぇ、俺に待ってて欲しかったわけか?」
「ああ、せっかく付き合ってやろうと家を空けたというのに、さっさと帰られては腹立たしいからな。
 ……待たされたのが不満か?」
「いや? 待たされたって程、待っちゃいないし。 大体最初は、お前だって俺の事待ってたんだろ? なら別に文句ないさ」

うん、待つのは、嫌いじゃないからな。
「先に行く」のより、ずっといい。

そうして、俺達は買い物を開始した。



買い物袋を提げて、並んで帰る。
アーチャーが言うとおり、今日の必要品は1人で持つには重量的にも体積的にも、やや多かった。

「今日は付き合ってくれて助かった」
「別に、必要な事だ」
「ああ、それからもう一つ」
「何だ?」
「『待っていて』くれて、ありがとうな」
「……別に、必要な事だ」

アイツは、同じ事を二回いった。
照れているのかもしれない。

「――待つ事は、嫌いではないからな」
「ああ、俺も、待つことは嫌いじゃない」

常なら、男二人買い物袋を提げて帰るのはちょっとイヤだけど。
その時は、いつもよりも少し、お互いに上機嫌だった。



「先に行く」よりも、「待っている」方がいい。
『先に行け』ば、別々の道をそれぞれの速度で進んで、会えないかも知れないけれど。
『待っている』ならいつか、会えるだろうから。


「待つ」事は、嫌いではない。
「先に行け」と言われた方が、「待たなくていい」と言われた方が。
――ずっとずっと、悲しいのだから。




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