web拍手ネタ〜弓士編〜 2


6 (椎名) 2005年バレンタイン

こうして睨みあって早数分。
俺とあいつが事あるごとに反発しあうのは日常茶飯事だ。
テーブルの上には、二つの皿の上に同じ数づつ置かれた

トリュフチョコ。

「いいかげん認めたらどうだ。衛宮士郎。」
わずかに口の端を吊り上げ、奴が告げる。
俺では奴に及ばないと。
しかし。
「お前こそそんな意地を張らなくたっていいんだぞアーチャー。」
この件に関しては、簡単に引き下がる訳にはいかない。

そう。

どちらの作った方が美味いのか。

「意地を張ってなどいない。ただ私はお前のは経験不足でまだまだ甘いという真実を述べているだけだが?」
「む…経験なんて関係ない!様はどっちのが思いが込められているかだろう!」
「ほう。それではまるでお前の方がより思いが込められていると言っている様に聞こえるな。」
「当たり前だ!絶対俺の方が気持ちを込めて丁寧に作ったっていう自信がある!」
「甘いな。思いを込めるというのなら負けてはいないぞ?何せ積年の恨みに殺意まで余すところなくじっくりと丹念に練りこんであるからな。」
「た…たしかにあの…ほのかなブランデーの香りは魂に訴えかける何かが…」
「ふん。解ったか。確かにお前のは素材の味がよく活かされていて上へ上へと目指す一途さがある。だがそれまでだ。
お前にはまだその先にある限界という名の現実を見据える覚悟が足りないのだ!
どんなに美味い物を作ろうとしても、人は愚かだ。味の良し悪しは好みというものに左右されてしまう。故に結局、万人に受け入れられる物を作ろうなどと到底不可能なのだよ。
お前はただ理想を追い求めているだけだ衛宮士郎!」
「ぐ…だからどうした!一人でも多くの人に美味しいと思ってもらえるような物を作りたいっていう気持ちは間違いなんかじゃないんだって事解らせてやるっ!」





7 (椎名)

この世界は奇妙な物語で溢れている。
曰く、この世界の存在そのものが奇天烈とするならばそれも至極当然と言うべきではあるが。
そんな世界の仕組みでの中で、起源を同じくしながら道を違え、因果の末に僥倖ともいえる様な接触を果たしたこの二人の異端も、ある意味では奇妙極まる物であった。

「アーチャー……そろそろチャンネル変えないか?」
その二人が、今時を同じく目にしている物語りも、また。

ブラウン管を凝視しつつ、引き攣った顔でそう提案した少年に、声を掛けられた弓兵は皮肉を込めた言葉を返す。
「たわけ。此れからが良い所だろうか。ラスト20分を蔑ろにするなど此処まで観てきた意味がなかろう」
期待はしていなかったが予想通りの回答に、少年は一瞬息を詰まらせる。
「だ、だってほら、これあんまり面白くないしっ!」
焦燥もあらわに主張したその額に一筋流れた汗を、アーチャーは見逃さかった。
「何を言う、かのホラー映画の巨匠の代表作だ。つまらないと言う事はなかろう。それとも……怖いのか?」
「ぐっ! そ、そんな事はないっ!」
にやり、と不適な笑みを浮かべ、アーチャーは居住まいを正す。
「ならば別に問題はなかろう……む、そろそろクライマックスか……」
アーチャーの言葉に意識を画面に集中させれば、調度悪魔のような殺人鬼にいよいよ追い詰められたヒロインが必死で逆転の一手を講じようとしている所だった。
逃げ惑うヒロインに、殺人鬼は余裕さえ称えてひたり、ひたりとにじり寄り……

「わ。」

そして赤い悪魔は降臨する。

「し……心臓止める気かこの悪魔ぁっ!」
少年の声なき悲鳴に、凜は満足そうに笑いをかみ殺す。
「ごめんごめん! あんまり真剣に緊張してホラー映画なんて観てるんだもの、ついv」
「ついvちゃない! たく……俺が早死にしたら絶対遠坂のせいだからなっ!」
なんとか息を整え抗議する少年に、凜はちょっとだけやり過ぎたかなと反省した。

「ところでアーチャー、あんた霊身体化までしてどうしたのよ?」
「む……」
「……アーチャー……まさかお前……」
「なっ! 違う! 違うぞ衛宮士郎! 別に映画が怖かった訳では断じて……」
「あらー、そう言う割には士郎以上に顔が青いけどー?」
「凛っ!」
「……いいんだぞアーチャー、誰だって怖い物は怖いんだから……」
「貴様にだけは言われたくないっ!」





8 (椎名)


「ふむ。まずは拍手に感謝を……と言いたい所なのだが……
なんなんだ?今回のテーマは……」
「えーっと、今回のテーマは……『直球勝負』?」
「また訳の分らない事を……」
「んー、いまいち良く分らないんだけどどういう事だ?」
「ふ。青い証拠だな衛宮士郎。」
「む。失礼な。いくら俺でも何となくは分かるぞさすがに。」
「ふむ……確かにお前は天然で直球を放つような所があるからな。」
「どういう意味だよ?」
「ふん。自覚もないあたりまだまだ青いというのだ。」
「ほぉ、じゃあもう立派なオトナのお前に教えてもらいたいもんだなっ!」
「……」
「……」


ぎゅむ(っと抱きしめてみる)
「ちょっ、ぉいこらまてアーチャ!?」
「こういう事だ。」
「直球通り越してるだろー!」





9 (イラスト:ペキ 文:椎名)



当初拍手にのっていた絵板作成のは、こちら


※※※※

「色気……だってさ……」
「らしいな。」
「取り敢えず俺は専門外だと思うんだけどな……」
「まったくだ。お前の何処に色気が有るというのだか。」
「む。あからさまにそう言われるとちょっとムカつくぞ」
「事実を言ったまでだ。」
「〜〜っ!どーせ俺はまだお前と違ってガキだよ悪かったなっ!」
「ふん。よく分って……待て。それではお前が成長すれば色気が出るとでも言いたいように聞こえるが」
「ぐ……そ、そうだっ!悔しいけどお前結構色気あるんだぞ!?」
「待て。取りあえず待て。冗談はよさないか衛宮士郎!」
「冗談でこんな事言えるかー!」
「……正気か貴様は……」
「あ、あんまり認めたくないけどっ!正直そう思うんだから仕方ないだろうが!」
「……そうか……あぁ、何となくだが、少しだけ分った気がするのだがね」
「な、何がだよ?」
「いや何。今回のテーマ――つまり、色気という物をな」
「へ?ってちょっと待てー!」
どさ。(良い音。)
「手取り足取り教えてやる。」
「遠慮する権利なしー!?」





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