近づく未来 (椎名)


休日の午後。
天気にも恵まれて、午前中に干した洗濯物もすっかり乾いていた。
取り込んだ洗濯物を手早く畳みながら。

ふと。

見慣れないシャツがあるのに気が付いた。

そしてそのシャツが、自分と同じサイズである事に。

「…士郎…このシャツはお前のだったか?」

向かいあって同じく洗濯物を畳んでいる相手に問い掛ける。
「あぁ、この前買ったやつだけど。それがどうかしたのか?」

少しだけ。
息が詰まるのを感じた。

「いや、私の服と同じサイズだったのでな。」

最近、衛宮士郎は急に背が伸びているのは気付いていたが。
こうして改めてみると――

この男が自分に近づいているのだと実感してしまう。

「あぁ、そういえば最近着れない服が増えてきて困ってるんだよなー」

黙々と洗濯物の山を築いている彼を見た。
肌や髪の色こそ、元のままの色だけれど。

時々、鏡でも見ているような錯覚を覚えてしまう。



それは恐怖。



――この男が、自分自身と同じ末路を辿るのではないかと――



「……アーチャー?」

呼ばれ、初めて自分が動きを止めていたことに気が付いた。

「どうした?ぼーっとしちゃって」
どうやら惚けていたように見えたらしい。

「いや、すまない。少々考え事をしていた」
どうでもいい言い訳をして洗濯物を畳むのを再開する。
まったく。なぜ私がこんなことで不安にならなければならないのか……
だいたいお前は私に何と言ったのか。
俺はお前の様にはならないと言ったはずだ。
その実――やっていることは私と同じだ。
本当にいつか理想を抱いて溺死しかねないではないか。


「アーチャー、眉間にシワ寄ってるぞ?」
「!!」
原因はお前だ!!
と危うく叫びそうになったのをなんとか抑え込んだ。
「……何がおかしい」
どういう訳か、その諸悪の根源は人を見て笑っている。
失礼な奴だ。
「いや、アーチャーがそういう顔してる時ってさ、俺の事心配してくれてるんだって前に遠坂が言ってたの思い出して」
……凛……また余計な事を吹き込む……
「誰が心配などするか。たわけ」

ふぅ、と溜息をつきそうになったのをなんとか抑えた。
聞かれればまた突っ込まれるのは目に見えている。

……馬鹿馬鹿しい……
悩むにも値しない事だ。
奴がどのような道を行こうと関係ない。

――ただ――
後悔するようなことだけは許さない。
私がさせない。
それは私への冒涜だ。

その時は――

その時こそ――


迷わず。
お前を殺してやろう。


だからお前は――
自分の信じたように好きなだけ生きればいい。



「アーチャー、笑ってる。」
「!!」



……その時は……
案外近いかもしれない……




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