日記掲載ネタ〜雑多編〜 11


12 (椎名) アンリ士郎

「あーあったけー。やっぱ寒い日はコタツに引き篭もるのに限るよなー」
まるでコタツと言う甲羅のカメさん宜しく、座布団を枕にごろごろしている物体を無視しつつ、士郎は本日二つ目のみかんの一房を口へと放り込んだ。
もちろん、毎年恒例藤姉ぇ持ち込み箱入りミカン撃破のためである。
食いしん坊な王様のおかげで半分程消費されたが、こうしてちまちま己の胃袋の許す限り美味しく頂かなければ、全て食べきる前に痛んでしまうだろう。
最悪ジャムかコンポートにしてしまおう、などと考えながら、口の中に広がる爽やかな柑橘の香りを味わいながら、士郎は咀嚼した果肉を飲み込んだ。
そんな士郎の様子を、アンリはじーっと物言い気に眺めていた。
次の一房に取り掛かった士郎に、アンリはむくりと起き上がると、ずい、と身を寄せた。
「なー、食わせてー?」
図々しくも甘える声は、宛らしたたかな猫の如し。
「自分で剥いて食べろよな、ごろごろしてだらしない」
じっとりと呆れた様に視線を送りつつ、士郎は手にした一房を口へと運ぶ。
「いいじゃねーかー。減るもんじゃねーし」
「減ると思うけど。主にみかん」
まぁ減っても別にみかんは大量にあるので構わないのであるが。
「だーって面倒臭いんだもーん」
べたーっとテーブルの上に顔を乗せて気だるげに欠伸を漏らすアンリ。
ふむ、と一つ小さく溜息を吐いて、士郎は新たに房を摘んでアンリの口元へと手を伸ばした。
にしし、と笑いながら、アンリはひょいとみかんの房に食いついた。
「んー。うめー」
やや熟し過ぎて柔らかくなっていたみかんは、味は薄かったが甘みは十分だった。
「なんか……餌付けでもしてるみたいだな」
何やらうっすらと額に詰めたい物を感じつつ、士郎は自分ももう一房を口にする。
アンリはこくん、とみかんを飲み下すと、にやりと不敵な笑みを浮かべた。

「じゃぁ餌付けされてやろうかご主人様ー?」
「ぅぬぁふごっ!」
思わずみかんを喉に詰まらせ咽返り、士郎は胸をどんどんと叩いた。
「おっ! お前なー!」
狼狽する士郎を見上げてくつくつ笑い、アンリは実に楽しそうである。
「なーなー可愛い飼い犬におミカン恵んでー?」
「自分で食え馬鹿狗ー!」
脇にあったダンボールから真新しいみかんを一つ掴み、士郎はアンリの顔面めがけて投げつけた。




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